掃除しなくていい部屋の作り方

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お部屋、片付いてますか?

多くの人が、片付けても片付けてもすぐに散らかる。これは意志が弱いとか、そういう話じゃない。単純に「今の自分が管理できる物の数」を超えて物を持っているだけのことだ。


なぜ片付けてもすぐ散らかるのか

片付けや持ち物の管理には、脳の前頭葉のリソースが使われていると言われている。人が一度に管理できる物の量には限りがあり、その限度を超えて物を持とうとすると、そのぶん脳に負担がかかる。だから、多くの物を抱えたままだと、片付いた状態を維持するのは単純にむずかしくなる。

そもそも、多くの人が「掃除」だと思っているものの実態は、大体「整理整頓」だ。世の中には収納術という形でそのノウハウが山ほど売られている。

収納術は、ハマる人には確かにハマる。でも、それを管理しきれない、使いこなせないなら宝の持ち腐れだ。なぜなら、収納術というのは基本的に「今持っている物をどう配置するか」の話でしかなく、そもそも管理できる物の数自体は、人によって、そしてその人のそのときの状態によって変わってしまうから。同じ収納術を使っても、片付く人と片付かない人が出てくるのはこのためだ。物のために家賃やローンを払っているわけじゃないのに、使わない物によって居住スペースが奪われていく。

広い、刺激のある環境で育てたマウスは、そうでないマウスに比べて腫瘍の成長が抑えられたという研究がある。ストレスホルモンや、脳の働きに関わるホルモンの働きが関係しているらしい。だから、物で埋まった部屋にいる限り、人は常に一定のストレスを抱え続けることになる。ただ、これがずっとデフォルトになっているから、多くの人はそのストレスに気づかない。プラマイゼロの状態に慣れてしまっているだけだ。

僕は前に、個人で部屋の片付けをお手伝いする仕事をしていたことがある。あるお客さんは、作業の途中で少し泣きながら片付けていた。物を減らすというのは、そういうことなんだと思う。ストレスがゼロになるわけじゃない。ずっとかかっていた重みに、減らして初めて気づくんだ。

でも、片付けることで、その毎日の無意識的なストレスは確実に減らせる。これも、自分を管理するための仕組みのひとつだと思う。


「残していい物」の基準

持っていい物の数は、人によって、そしてその時々の自分の脳のリソースによって変わる。だから「何個までOK」という絶対的な数は決められない。

ただ、「残すかどうか」を判断する基準は、わりと明確にできる。

基準1:3ヶ月使ったかどうか+金額のブレーキ

まず期限を決める。目安は3ヶ月。「この調味料、過去3ヶ月で使ったか」「この小物、3ヶ月の間にじっくり眺めたり、使いたくなる瞬間があったか」を自分に聞いてみる。答えが「ノー」なら、まずはゴミ袋に入れてみる。これが基本の動き。

ただし、ここに一つブレーキをかける基準がある。それは「同じ物をもう一度買うとしたらいくらか」という金額だ。

例えば、3ヶ月使っていない物の購入金額が3万円だったとする。この場合は一旦ストップ。本当に手放していいか考え直す必要がある。「3万円くらいすぐ買えるな」という人はそのまま手放していいし、「ちょっと高いな」と感じるなら一度立ち止まった方がいい。逆に、3万円で買えるとしても「これはもう一生使わないだろう」と思えるなら、手放してしまっていい。

このブレーキの基準額は、だいたい3,000円くらいから始めるのがおすすめ。3,000円でも高く感じるなら、1,000円くらいまで下げてもいい。ただし、1,000円以下まで下げるときは、それが「本当の基準」なのか、それとも「ただ捨てたくないだけの言い訳」になっていないか、自分に確認した方がいい。

物を手放すのが本当につらい人もいる。以前、僕がお客様と一緒に断捨離の作業をしていたとき、お客様が少し泣きながら作業していたこともあった。それくらい、人によっては物を手放すことの負の側面が大きい。

基準2:思い出の品かどうか

もう一つの基準は、「それが思い出の品かどうか」。こちらはお金では代えられない、時間としての価値の話だ。一度手放したら、二度と手に入らないもの。これに関しては、基本的に「手放さない」ことをおすすめする。

もちろん、思い出の品でも「一生見たくない」というものなら、手放していい。でも、それ以外は「今はこれが思い出の品と言えるのか?」と思うようなものでも、5年後、10年後の自分にとってはすごく貴重な物になっていたりする。

僕自身、学生時代の制服を過去に手放してしまったことがある。それから約3年経った今、「取っておけばよかったな」と少し思うことがある。あのときの自分としては手放したかったんだから仕方ないとも思うけれど、もしかしたら母は残しておいてほしかったのかもしれない、とも思う。だからこそ、思い出の品を手放すときは慎重になった方がいい。


仕組みとして部屋に落とし込む

思想だけでなく、実際に自分の部屋でどう仕組み化しているかも書いておく。

うちはロフト付きの部屋で、生活の中心(布団や作業机)はロフト側にすべて集約している。下の階は5.5畳あるけど、使っていないベッドフレームと服をかける場所があるだけで、ほぼ物を置いていない。「使う場所」と「使わない場所」を最初から分離してしまえば、そもそも散らかる余地自体がなくなる。

さらに、食事の工程を三ツ星ファームに任せていることで、洗い物という「散らかりの発生源」自体もほぼゼロになっている。シンクに食器が溜まらないだけで、部屋全体の印象はかなり変わる。片付けというのは、こういう「発生源を先に断つ」仕組みの積み重ねだと思う。


まとめ

片付いた部屋を保つのに必要なのは、根性でも収納術でもなく、「自分が管理できる量」を超えないことと、「残す基準」を持っておくこと。基準は、時間(3ヶ月使ったか)とお金(手放すブレーキになる金額)、そして思い出という3つの軸で考えると、判断に迷わなくなる。


この記事のシクミ

片付けても片付けても散らかるのは、意志が弱いからじゃない。今の自分が管理できる量を、単純に超えているだけだ。

残すかどうかは、3ヶ月使ったかどうかと金額のブレーキで判断する。思い出の品だけは、この基準の外に置いていい。あとは、使う場所と使わない場所を分ける、散らかりの発生源になっている洗い物を断つ。これだけで、部屋はだいぶ変わる。

物を減らすことは、我慢比べじゃない。今の自分に合った量に、ちゃんと合わせてあげることだ。

部屋を仕組みで守るという意味では、洗濯物の置き場所を見直した話も書いている。

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